悩めるヒーロー

私はヒロシ、職業はヒーローだ。

ゆっくりとおにぎり1個を大事に噛み締めている。

たぶん、今日食べられるのは、これだけか、、、

空腹すぎて死にそうだ。

もしかして、最後に食べるものがおにぎりになるかもしれないな。

最近、平和過ぎる。いいことなのだが、これでは食べていけない。

小さい頃からの憧れの職業につけたというのに。

困っている人を助けて、お金をもらうには、困っている人がいないといけない。


おっと!これは稼ぎどころだ。

小太りのおじさんが悪党に捕まっている。

そこへ、私は現れる。

「君、なにをしている!!やめたまえ!!」

「なんだお前!?」

「私は、ヒーローだ!!観念するのだな」

そして、見事に私は、やっつけた。

「ありがとう!報酬はいくら欲しい?」

「そうですね〜相場20万円ですかね」



その後、私は友達のアクトに会った。

「アクト、約束の10万な」

「ヒロシ、これで今月はなんとかなりそうだな」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「どうしたヒロシ?痩せ細ったな、食えてないのか」

「そうなんだよ。アクト、頼みがある」

「わかったよ。報酬は半分こな」

この男の職業は、悪党だ。

「ヒロシ!あの人とか、いいんじゃないか?お金持ってそうだぞ」

「まあ、そうだな」

アクトは、小太りの高級時計をつけているおじさんを慣れた手つきで捕まえた。

縄で手足を縛り、動けなくした。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「ヒロシ!ご飯でも食べ行こうか」

「そうだな、お腹ペコペコだ」

私たちは、レストランに向かって歩いている。

「なんか、悲しいな、いつからこうなっちまったんだ」

「まあ、いいじゃないか、小さい頃から憧れだったヒーローになれたんだろ?」

「ほんとにヒーローなのかな」

「まあ生きるためには、やりたくないこともやらないといけない、みんなその葛藤と戦っているんだよ」

「、、う〜ん」

「まあ、明るく行こうぜ!
 こっちまで暗くなる。
 そうだ!せっかくお金入ったから
 焼肉行こうぜ」

「いいね!焼肉なんていつぶり 
 だろう」


下を向きながら、今にも泣き出しそうな女の子が横切った。

「あの子、迷子なのかな?」

「やめとけよヒロシ。助けてもお金になんない」

「まあ、そうだな」


その時、女の子が車道へ出た。

「危ない!!!!!」

私は、無我夢中で女の子を歩道へ押し出した。

「おい!大丈夫か!!!」

「グスン、グスン」

アクトの声が聞こえる。そして女の子の泣き声も。

そうか、あの子は無事か。

そして、私は最後の言葉を言った。

「ヒーローになれたかな、、、」

著者:ジョナソノフ

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